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のれんに関連した知識 のれんの選び方

印染めの暖簾で宿泊客を迎える

旅館の入り口に掲げられる暖簾には、屋号や屋号紋が入っています。
それを目にした宿泊客は、その印象でこれからお世話になる旅館がどういうところかを想像します。

なので、暖簾にどんな屋号や屋号紋が入っているのかを確認できなければ、イメージはとても悪くなります。

そういった理由から暖簾では、文字や図がくっきりと染められる印染めが使われる事が多いです。

印染めは布に職人が染料を染み込ませていく技法ですが、ただの染め方と違うのは裏から見たときのことも考えていることです。

表だけでなく裏からも染めているので、両面で何が描かれているのかを判別できるようになっています。

両面にのれんを染める

古くは合戦のときに武将が掲げる幟にも使われてきたもので、その伝統が今でも残っているのは貴重なことです。

手間がとてもかかる染め方ですが、機械で染めるのとは違い独特の味わいを出せます。
観光地ではビジネスホテルや高級ホテルが多く立ち並んでいますから、そういうところと差別化を図りたいならば伝統の暖簾を掲げるというのは良い戦略です。

宿泊客は、古き良きものに興味を持つ人が多いですから、その気持ちを上手く捕まえればリピーターになってもらえるでしょう。

風格は入り口で演出できる

老舗の宿と呼ばれるようになるには、文字通り何十年、何百年もの歴史を持つことが必要です。

しかし、歴史が浅くとも、それらしい風格だけは演出できます。
どうすればいいのかというと、ポイントになるのがエントランスデザインです。

なぜなら入り口の第一印象が、ブランディング戦略を左右すると言っても過言ではないからです。
具体的にどうするのかというと、伝統的な染め方で屋号や屋号紋が入れた暖簾を掲げておけば、それで宿泊客は老舗に泊まったかのような気分になれます。

宿とのれんの相性

もちろん、その印象だけでリピーターになるのかというと、そこまで甘い世界ではありません。
宿泊客のイメージに負けないだけの最高のサービスを提供することが大事です。

その点を理解した上での演出ならば、ブランディング戦略は見事に成功します。

素晴らしいエントランスデザインができて、経営が軌道にのれば5年後、10年後も営業を続けられます。

そうなれば、見せかけだけでなく実際に歴史をもった宿です。
月日が経てば暖簾も汚れや色落ちがでてくるでしょうが、それが逆に味わいになります。

さすがに劣化が激しいというのであれば、暖簾をつくった職人にメンテナンスをしてもらうと良いでしょう。